平成18年10月24日(火曜日)に、在日アルゼンチン大使館の特命全権大使のダニエル・D・ポルスキ氏をお招きして、
生憎の雨天であったが、70人程の参加で、講演会が行われた。
ポルスキ氏のお話は、ほとんど、自国経済のことだったが、結局、メルコスール加盟国間の経済協力を強化して、
自国経済の立て直しを図るという事である。
講演の要旨は次の通り:
アルゼンチンは1816年7月9日、スペインから独立して、2回にわたる世界大戦には直接的には関与せず、各国への農牧産品供給国と
して利益を得た20世紀初頭には世界有数の富裕国であった。第二次世界大戦後、工業化偏重政策をとるが、産業構造の転換に
成功せず、次第に経済は低迷した。
ペロン政権以降、顕著になった放漫財政や、1960年以降に頻発した政変や、マルビナス(フォークランド)戦争や、1988年の
ハイパーインフレーションによる富裕層の没落や、海外脱出が続くなど、経済は混迷の度を深めた。
その後、親米、親IMFを掲げたメネム政権の新自由主義政策により、1990年代には年率9%にも達する経済成長を遂げるなど、
一時的には安定した。しかし、1999年に起きたブラジルのレアル切り下げで、ペソが相対的に高くなり、輸出競争力を喪失して、
国際収支は悪化した。
その結果、通貨危機(通貨ペソの対米ドル「ペック制」の崩壊)により、完全に暗転し、2001年には対外債務の返済不履行宣言を
出す事態に陥り、アルゼンチンの国民経済は破綻した。そして国際的評価は地に落ちている。
そして現在、アルゼンチンは、メルコスールの加盟国となったことにより、南米諸国との経済交流の活発化による諸外国からの
投資の増大に経済の復活をかけている。
キルチネル大統領は、2006年7月9日の「独立190年記念式典」で、「われわれは、IMFにさよならを告げた」と演説した。
IMFの干渉を排除する為に、百億ドル近い債務を完済した。そして、2000年末の経済破綻直後の失業率24%を今年5月末までに11.4%に
まで、改善した。
以上のように、これからは、メルコスールに加盟したことによって、経済的復活を目指すという事であるが、ここでメルコスールに
ついて説明すると、それは、パラグアイ、ウルグアイ、ブラジル、アルゼンチンの四ヵ国で構成される関税同盟として、1995年に
発足した。
加盟四ヵ国のGDPの合計は1995年でみると約8800億ドルで、これは当時のASEANの1.5倍、日本の6分の1の規模である。四ヵ国の
人口は約二億人であるが、欧米の自動車メーカーが関税の特典を生かした生産体制を構築するなど、直接投資も増えて注目を集める
市場となっている。
従って、当講演会のテーマである「世界は今、異文化共生社会」ということにリンクしていると思われる部分があるとしたら、
それは前述した、メルコスールによる経済協力という事だと思うが、それはEU程のスケールではないが、今後のアルゼンチンの
方針として、はっきり理解できた。
佐藤誠一郎(昭和53年卒)